賃貸借契約では、法律上、無断での賃借権譲渡、転貸(又貸し)が禁止されているほか、契約で、無断で建物の増改築をしてはならない、土地に建築できる建物は非堅固建物に限るなどと定められるケースも多くみられます。
賃貸人とすれば、建物が増改築されるとそれだけ契約終了が遠のき自身で土地を活用できなくなりますし、信頼関係のない第三者に借地権が譲渡されると借地管理に支障を来すおそれがあるため、このような法律、契約条項があるのです。
もっとも、増改築や賃借権譲渡がなされるとしても場合であっても、それに見合う見返りがあれば、契約を解除し裁判等を行って明渡を求めるよりも、増改築や賃借権譲渡を承諾したほうがむしろ経済的だということもあります。このような背景事情から、承諾料の授受がなされるのです。
賃借権譲渡・転貸の承諾料とは、賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸(又貸し)する際に授受される金員のことです。
前者については、借地権の名義書換料・名義変更料といわれることもあります。
承諾料の相場としては、概ね、借地権価格の10%程度とされています。
この承諾料が問題となるのは借地権の売買がなされるケースですので、通常は売却価格が借地権価格となりますが、国土交通省地価公示、都道府県地価調査の価格を参考とすることもあります。
なお、更地価格に対する借地権割合については、路線価図に記載があります。
建替え・増改築承諾料とは、借地上の建物の建替え・増改築時に授受される金員のことです。
増改築承諾料の相場としては、概ね、更地価格の3%程度とされていますが、具体的な料率は、立替の場合は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、両当事者の協議により決められることとなります。
例えば木造建物(非堅固建物)から鉄筋コンクリートの建物(堅固建物)に変更する場合など、借地条件を変更する場合に授受される金員です。
このような条件変更がなされると、借地人がより強固な権利を取得する反面、賃貸人がその分の負担を負うことになるため、その対価として授受されるものです。
条件変更承諾料の相場としては、概ね、更地価格の10%程度とされています。
賃貸人が、賃借権譲渡・転貸、建替え・増改築、借地権の条件変更に承諾しない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「借地権設定者(地主)の承諾に代わる許可」(代諾許可)を求めることができます。
裁判所は、賃借人からの申立てを受け、双方から事情を訊き、相当と認めるときは、その許可を与えることになります。
このとき、裁判所は、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件を変更し又は財産上の給付を命ずることができるとされています。具体的には、上記に述べたような承諾料の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可することとなるのです。
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