不動産の賃貸借契約の期間満了時、契約を更新する場合に授受される金員です。一般的に、不足賃料の一括前払いや、更新拒絶しないことについての対価などと説明されます。
更新料は、特約があれば支払義務が発生しますが、内容によっては、契約自由の原則を逸脱し、消費者契約法に違反するものとして、無効となることもあります。
更新料の授受については、契約条項にその規定がなければ、法律上、支払義務はありません。しかし、実際上は、当事者間の円満な契約関係を維持するなどの目的で、協議により、更新料の授受がなされることもあります。
契約上、更新料の具体的な金額や算定方法の定めがある場合は、それによります。
これに対し、「当事者双方の協議に基づき金額を決める」等の約定がある場合は、当然、協議により決めることとなりますが、その金額は、更地価格の3~5%とされることが多いようです。但し、これは一定の目安であり、当事者間の関係や事情によって、より高額な更新料の授受が行われることもあります。
契約に更新料に関する約定がない場合に、賃借人が法律上、更新料の支払義務を負わないことは、借地契約の場合と同じです。
契約上、更新料の定めがおかれる場合は、通常、更新料額は、賃料の1か月分、又は2か月分など、賃料額に基づく算定がなされることが多いです。
消費者契約法10条は、「民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と規定しています。
そこで、「借家契約における更新料の約定は、消費者契約法10条に反して無効である。」と主張し、更新料の支払いを拒絶するとともに、既払いの更新料の返還を求める訴訟が各地で起こっています。
このような事件については、従前、高等裁判所のレベルでも判断が分かれていたのですが、平成23年7月15日、最高裁判所は、「賃貸借契約に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう『民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの』には当たらないと解するのが相当である。」と述べ、借家契約における更新料の約定は原則として有効である旨の判断を示しました。
同判決により今後は、同種事件では「特段の事情」の存否が主要な争点となっていくものと考えられます。
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