婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子、婚外子などといいます)の場合、母親と子どもは、当然に法律上も親子として認められますが、父親と子どもとが、法律上、親子と認められるためには、父親による認知が必要となります。
たとえ、親子として長年一緒に暮らしているようなケースでも、所定の様式により認知しなければ法律上の親子とは認められません。よって、父親が亡くなっても、相続権なども発生しないことになります。
認知は、市町村役場に所定の様式に従って届出をすることにより行うことができます。
また、生前に子がいることを秘密にしておきたい場合などは、遺言によってもすることができます。
認知にあたって、通常、母親や子の同意は必要ありませんが、子が20歳を過ぎたときはその子の承諾が必要となります。子に対する扶養義務を果たしていない父親が、子からの扶養を期待するという身勝手を許さない趣旨です。
子が胎児の場合でも、母の承諾があれば、任意認知は可能です(胎児認知、民法783条1項)。
また、子が死亡した場合でも、父又は母は、その子の直系卑属がいる場合には、認知することができます。なお、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならないとされています(死後認知、民法783条2項)。
父が認知をしてくれない場合、子、その直系卑属(孫、ひ孫…)又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができるとされています(強制認知といいます)。
この訴えはいつでもできますが、父又は母が死亡してから3年を経過したときは、提訴できません。また、任意認知とは異なり、子が胎児のときは、提訴できないとされています。
母が、父である男性に認知を求め、その男性が市町村役場にその旨を届け出れば、もっとも簡単に認知が成立します。なお、前述のとおり、子が胎児の場合でも母の承諾があれば届出は可能です。
父である男性が認知してくれない場合、直ちに訴訟を提起することはできず、まずは、認知調停を提起する必要があります(調停前置主義)。この申立ては、相手方(父である男性)の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所に対して行います。調停で、当事者双方の間で、子が男性の子であるとの合意が成立し、裁判所が必要な事実調査を行いその合意が正当なものであると認めれば、当事者の合意にそった審判がなされます。
なお、子が胎児の場合でも、調停の申立ては可能です。但し、胎児認知調停と、通常の認知調停とは性質が異なり、胎児認知調停の場合は、「市町村役場に胎児認知の届出をする」旨の合意をするため、話し合いをするという限りで、調停を利用できるとされています。
調停でも男性が認知することを拒んだ場合、認知の訴えを提起することになります。
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