
最近目につくドッグサービス業の一つにパピーパーティー(幼稚園)があります。急成長を遂げているかどうかは別としてほとんど野放しの状態になっています。危険なパピーパーティーもありますが、誰も問題としていないので、急きょこのコラムで取り上げたいと思います。
パピーパーティーとは、犬の社会化を養うための手段方法の一つです。
社会化とは、幼少期の犬にいろいろな社会環境を経験させることにより、刺激となる環境に慣れさせ、不必要に感情的にならない状態をいいます。
いろいろな音や場所、生き物や雑多の人間などに慣れさせて社会性を身につけることが犬の発達にとって有効とされます。
生後まもない犬(3ヶ月〜6ヶ月位)にとっては、社会は見るもの聞くものがみな物珍しく、多種多様な刺激に満ちあふれています。
しかし、犬を飼った経験のある人ならば誰もが経験するように、犬同士の相性の問題と社会化の問題は少し違うようです。初めて会ったワンちゃん同士でも、こちらのワンちゃん自らが喜んで走り寄るワンちゃんもいるし、お相手のワンちゃんが喜んで走り寄って来るのにこちらのワンちゃんは嫌がって逃げたりします。
相性は、犬の犬種、原産国、性別、年齢などによっても異なるようです。相性の合わない犬同士を何日間一緒に生活させても、片方の犬にとっては地獄であると思います。
人間の幼稚園でも、仲の悪い子と仲の良い子ができ、いじめっ子といじめられっ子ができてしまうのと同じです。
そのため、人間の子供の社会化を図るために先生は専門的知識と経験に基づく指導とお手本を示しながら色々とご苦労されるのです。
犬の場合も同様です。犬種、年齢、性別、性格等による相性に配慮せずに雑多なワンちゃんを何時間も混入させ、人間が椅子に座って見張っているだけでは危険性と弊害の方が社会化よりも優ってしまいます。犬の傷害事故だけでなく、トラウマに苦しむ犬が現れます。
パピーパーティーの方法によって社会化を図るためには専門的知識と経験に裏付けられた適切なプログラムとトレーニングが必要となります。
犬の年齢、体格、犬種、性格などに配慮したグループ分けや遊びや遊具、しつけや正しいコミュニケーションを身につけるトレーニングなどが必要とされます。
パピーパーティーの共通の方法は、人間のトレーナーの監視下で犬同士が自由に遊び回るというものです。
問題は参加できる犬の対象ですが、現在多くのパピーパーティーは生後3ヶ月から6ヶ月のワンちゃんが小型犬でも大型犬でもが犬種を問わず合同で参加するものとなっていますが、中には年齢や犬種を問わないものもあります。また、動物病院が併設しているものもあります。
犬同士の傷害事故については法律の世界では犬の占有者(管理保管者)の注意義務が問題となるので、占有者は状況に応じた適切な方法で犬をコントロールしなければなりません。
他の犬とコンタクト(接触)する可能性のある場面でのノーリードはコントロールの放棄と捉えられても仕方がありません。
散歩では、リードによるコントロール、ドッグヤード内でも初めからノーリードとするのではなく、状況に応じてリードを使い分け、徐々に環境に慣らしていき、占有者も事故防止のため常に犬をコントロールできる距離にいて監視していなければなりません。
散歩やドッグヤードのケースではきめ細かい占有者の注意義務の内容やあり方が議論されてきました。
ところが、パピーパーティーでは、雑多な犬が最初からノーリードで放し飼いです。傷害事故の危険性は否定できません。散歩やドッグヤードのケースを参考にして、状況に応じた注意義務の内容やあり方を検討すべきであり、標準化すべきです。
人間のトレーナーの監視下で犬同士が自由に遊び回るというパピーパーティーの理念自体は理解できます。しかし、一定のルールがなければなりません。
例えば、犬の生命及び身体に対する危険を除去し、安全を確保するために、エリア内を参加犬の特性及び頭数に応じた適切な広さとすること、エリア及び関連施設の構造上及び人員上の安全措置を講じること、犬同士の不相当な接触による事故を防止するために、参加犬の種類、体格、年齢、性格に応じた分類分けをするとともにパーティーに参加できる参加犬に適切な制限を設けること、参加犬の種類、体格、年齢、性格に応じて行動エリアに参加犬の行動を制限する区分を設けること、相性の良い犬同士のグループ分けをすること、参加犬の頭数に応じた適切な人数の管理者(トレーナー)を参加犬をコントロールできる位置に配備すること、参加犬の種類や年齢や参加経験の段階に応じてリーシュ(統制綱)を利用するなどして、突発的な事故の発生に対して迅速に対応することができるようにすること、などの参加犬の生命身体に対する安全を確保するための適切な対応及び措置を講ずべき注意義務が考えられます。
いずれも、参加犬同士の自由な触れ合いを抑制するものではなく、適切なクラス分けと管理をしっかりと行う体制を作るということです。
電車に乗ってもバスに乗ってもみんな携帯に熱中し、公園で子供たちを遊ばせながら携帯に熱中する昨今、携帯が管理に影響を与えていないでしょうか。
犬の行動は予測できません。犬が突発的に危ない行動をした場合には直ちに制御しなければなりません。
パピーパーティーでは、管理者は雑多な犬を放し飼いにして何時間も注意深く見張っていなければなりません。携帯に熱中することはできません。
果たしてそんなことができるでしょうか。
管理者を管理する「管理者」は・・・いません。
所長弁護士渡邉正昭プロフィール
弁護士は、30年以上、弁護士、弁理士、税理士として会社の法務や事件に従事してきました。
また、法交渉心理学者として、家庭裁判所の調停委員、非常勤裁判官として、20年間、相続、遺産分割、離婚などの、家事事件に従事してきました。
さらに、簡易裁判所の司法委員として8年間民事事件に従事してきました。
行政庁の顧問や委員としても20年間活動してきました。
会社・企業事件、家事事件、民事事件の知識経験が豊富で、行政や裁判所の実務にも精通しています。
当事務所は、ペット問題に30年以上取り組み、会社企業法務、公認心理師・臨床心理士、税理士、弁理士、経営経済、行政顧問などの専門性を有する法律事務所です。
渡邉アーク総合法律事務所
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