土日時間外相談対応24時間毎日受付

原則として平日9:30~17:30
予約で土日祝日営業時間外も法律相談対応

▲ メニューを閉じる ▲

ペットの譲渡トラブル(3) 2026.5.28

書類とペンと印鑑の写真

1 里親契約の譲渡トラブルの具体的対応策

今回は実際にトラブルとなった場合の対応や交渉の仕方について渡邉弁護士の経験から蓄積された膨大なノウハウの一部、ほんの一部に過ぎませんが、紹介したいと思います。

2 里親譲渡問題の特徴

渡邉弁護士が扱うケースでは、里親募集サイトを介してペットが譲渡される場合が増えています。
詐欺問題になるケースもありますが、圧倒的多数は所有権の帰属を巡る問題です。
その場合、譲渡合意があったかどうかが最初の争点となります。
また、譲渡契約書が作られていても、条件付譲渡(トライアルを含む)、譲渡人の譲渡意思の「成熟性」(譲渡意思表示の撤回)、他人の所有するペットの譲渡などが問題となる相談が多く寄せられています。

3 条件付き譲渡(トライアルを含む)

(1)トラブルの予防

里親募集サイト推奨の契約書を使用しても、トライアル期間の定めが不明瞭であるためにトライアル期間中かどうか、ペットの返還条項に該当するかどうか、当事者の事前の説明やプロフィールに嘘があった場合などが問題となります。
この場合は何よりも予防が重要です。
里親募集サイトの契約書を補充する覚書(合意者や誓約書等)を別途作ること、譲渡契約書に署名押印する前の受入環境や飼養方法などの調査などが挙げられます。
また、メッセージやメールのやり取りの経緯や内容は契約書を補充するものであり、客観的な証拠としての位置付けもあります。電話よりも積極的に活用したいものです。

(2)トラブルの対応

ア 契約成立及び内容について

実際に引き渡しが終わってしまった後は、もっぱら譲渡人の返還請求の問題となります(引き渡しを受けた里親から譲渡人に引き渡しを求める場合はそれほど多くはありません。)
譲渡人は譲渡契約書の形式や内容は必ずしも完全ではないので、契約内容を明確化しなければなりません。
メッセージやメールのやり取りの経緯や内容は契約書を補充するものであり、客観的な証拠としての意味もあるので極力保存収集することが重要です。
LINE、Messenger、SMSなどの様々なメッセージアプリがありますが、紙媒体での印刷が容易で、受送信時間が明確に記録されるものがお勧めです。
でないと、1枚1枚スクリーンショットを撮ることになります。

イ ペットの特定

返還請求権者は返してもらいたいペットの特定をする必要があります。
交渉レベルであれば、当事者はお互いに問題となっているペットは分かっているでしょうが、裁判(訴訟)を利用する場合は訴状の別紙などでペットの特定をしなければなりません。
名称、種別や品種、性別、生年月日、外見の特徴などの動物病院に提出する程度の特定では不十分です。
マイクロチップの個体識別番号やペットの画像(顔正面や全身など)でより具体的に特定する必要があります。
訴訟の場合は判決取得後に執行官による強制執行が必要となる場合があるので、どのペットが執行の対象か容易に判別できなければならないからです。

ウ ペットの所在場所の調査

訴訟の場合には特に問題となります。
強制執行のときにペットの所在場所が分からないと執行することができないからです。
他方、交渉段階であれば双方の合意ができれば紛争は解決するので、ペットの所在に執着しすぎる必要はないと思います。
高額な探偵費用の回収は訴訟を誘引することになるのでせっかくの合意による解決の道が制約される可能性があります。

エ 返還交渉戦略と交渉手段の検討

交渉は相手方を説得して合意に至らなければ成功しません。
そのための説得方法を検討しなければなりません。
相手方を分析し、依頼者を分析して、訴訟の勝訴可能性、時間、労力、費用などの交渉資源、交渉環境、依頼者の意向などを考慮しながら、現時点での最適な交渉戦略と戦術を考えます。
マーケティングミックスの構築にも似ています。
詳しくは、当事務所のHPの「法交渉心理学入門(連載)」をお読み下さい。

オ 民事調停の活用

当事務所には日本中からペット問題の相談が集まってきます。
相談内容は、当事者同士の交渉が行き詰まった、これから交渉を始めたいがどうしてよいか分からない、相手方から訴えられた、代理人になって欲しい、他の弁護士の相談が不満、などです。
相談者の意向も多種多様です。
ただし、多くの相談者が訴訟(裁判)を意識しています。
意識するという言葉を使ったのは、訴訟による解決を考える動機が異なるからです。
積極的に訴訟を希望する積極的理由の方から他に方法がないから訴訟を選択するという消極的理由の方、相手が訴訟を起こしたからやむを得ず訴訟に応じるという受動的理由の方など様々な方がいます。
加えて、他のペット事件、例えば、咬傷事故、医療過誤事件、ペットショップなどの事業者間とのトラブルなどとは異なり、双方が所有権を主張し合うようなペット譲渡のトラブルは金銭的解決が難しいので合意による解決が制約される特徴もあります。
しかし、いきなり訴訟ではなく、民事調停の場での合意形成の可能性を検討することが有意義な場合があります。
なぜなら、調停においては、調停が訴訟の前哨としての機能を果たし、予想される訴訟の結果の認識が訴訟を回避し、合意による解決に向けた説得材料となる場合があるからです。
民事調停は「小裁判」と揶揄されることがあり、実際の調停実務を長年経験すると否定できません。
しかし、それを一段高い位置から俯瞰すると、逆に「小裁判」を利用しようという発想が生まれます。もっとも、訴訟と同様の解決方法と解決内容では第3の道を追求しようというADRの理想には遠く及ばないことは言うまでもありません。
逆に、訴訟とは異なった解決方法や解決内容を求めたい場合には合意と説得の方法でオーダーメードの調停の場を作り出していくことが有意義です。
このように調停の場をどのように作り出すかは説得と合意(交渉)を手段とする当事者と調停委員会(裁判所)の力量と能力に委ねられているのです。

カ 訴訟(裁判)の活用

里親譲渡問題は訴訟にまで発展する場合が多い事案です。
ペットの引き渡しやペットの寿命や健康状態について考えるとできる限り合意と説得による解決が望ましいのですが、実際は、人間の協議離婚の親権者指定とは異なり、ペットの場合には、説得と合意による解決が難しい場合が多いです。
特に里親契約の譲渡人はやむを得ない事情により里親に出す場合が多いので、ペットに対する愛着は強く、別れた後になってから気持ちが変わる場合があります。
そこで、里親契約の無効やトライアル条項を根拠にペットの返還を求めることになります。
他方、里親もペットに対する愛着は強く、里親がペットの飼養を続けること不安を感じているので、返還には容易に応じません。
金銭で調整できるような事案とは異なり、お互いにお金の問題ではないと考えているので、説得と合意による解決(和解)が難しいのです。
具体的な訴訟戦略や戦術については一概に説明することはできません。事案ごとのオーダーメードの戦略や戦術を策定する必要があります。
ただし、勝訴判決を得た場合、相手方が任意の引渡しに応じないときは強制執行(動産執行)によって強制的に引き渡しを実現することになりますが、ある意味、動産執行の問題が1番の難問であると言えます。

渡邉弁護士は過去に動産執行によって犬の返還を実現した経験がありますが、ある事件の流れの中で高裁裁判官の弾劾裁判の訴追請求人として活動した忘れられない経験があります。

渡邉アーク総合法律事務所&臨床心理士 所長 弁護士渡邉正昭
【渡邉アーク総合法律事務所&臨床心理士】

所長弁護士渡邉正昭プロフィール

渡邉正昭弁護士は、ペット弁護士の先駆けとして、30 年以上ペット問題に取り組んできました。
その間、たくさんの猫や犬を飼養し、ネコ語が分かる弁護士として紹介されています。
また、動物問題の専門弁護士として社会福祉法人日本介助犬協会の役員を長年勤め、身体障害者補助犬法の成立、普及に長年従事してきました。

まずは、法律相談のご予約をお入れ下さい。法律相談のあと、そのまま依頼しなければいけないという事はありません。お気軽にご相談にいらして下さい。

弁護士が直接お話を伺います。その上でお客さまにとって最善の解決策をご提案いたします。相談のみで解決した場合はこれで終了となります。

弁護士から解決策や費用などの具体的な提案があります。その上で依頼したいかどうか判断して下さい。もちろん、持ち帰ってお考え頂いて結構でございます。

委任契約後、弁護士は直ちに活動を開始します。その後は、こまめにお客様と連絡をとって進捗状況を報告し、お客様のご意見を伺いながら、案件の対応を進めていきます。

〒106-0032 東京都港区六本木7-3-13 トラスティ六本木ビル8階