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ペットの譲渡トラブル(2) 2026.3.27

夫婦で考え事をしている写真

1 トラブルの対応策

実際にトラブルとなった場合にはどのように対応すれば良いでしょうか?
刑事問題になるケースも報告されているので、刑事、民事の対応を検討したいと思います。

2 刑事問題になるケース

募集者または応募者が相手方を騙して不正な財産的利益を得るために里親募集サイトを悪用する場合があります。刑法上は、詐欺罪(246条)や私文書偽造罪(159条)の問題となります。
例えば、募集者が、先天性疾患のため余命がない犬を健康な犬として高額販売する場合、血統書を偽造して純血種として販売する場合、理由のない高額な金銭請求をする場合など、応募者が、里親となる条件に違反して譲り受けた猫を転売したり、繁殖させたりして不正な財産的利益を得る場合などがあげられます。被害者に財産的損失がなければ刑事問題とはなりません。
虐待事案の場合は動物愛護管理法の問題となります。罰金、拘禁刑。行政機関との連携が有効です。

3 民事問題の場合の対応

(1)類型

以下のケースが挙げられます。

  1. 所有権の帰属が問題となるケース
  2. 金銭請求が問題となるケース
  3. 詐欺等の意思表示の瑕疵が問題となるケース
  4. その他のケース

(2)① 所有権の帰属が問題となるケース

ア 当事務所に来るケースでは一番多いケースです。

所有権に基づいてペットの返還を請求する者(返還請求者)が、譲渡人(募集者)の場合、譲受人(応募者)の場合、いずれもあります。

イ 実際は難しい調停への道

このケースの場合には話し合いに馴染むと思われるのですが、実際は、双方が所有権の主張を譲らないために激しく対立し、話し合いが困難な場合がほとんどです。所有権を譲歩する側には金銭的調整が試みられますが、お金よりもペットを選ぶというある意味自然な選択を双方がするために合意が困難になります。離婚の際の子供の親権の争いに似ています。
この場合の対応は訴訟や民事調停などの権威のある第三者機関の関与による話し合いが現実的です。

ウ 調停ならではの解決方法

所有権があるかないかという裁判(訴訟)的な視点のみを解決基準とするであれば、初めから裁判をすれば良いのであって調停を利用する意義はありません。調停の存在意義は、第三の道を話し合いと合意によって想像と創造することにこそあるのです。
具体的には、法律や契約条項や証拠資料の活用を合意と説得の手段として利用すること、たとえば、共有関係の構築や共同の飼養などの第三の解決基準の創造などが考えられます。あたかも、共同親権や共同監護と同じ発想になります。
蛇足ですが、私は趣味で江戸時代の古文書の翻刻をしていますが、江戸時代の村同士の土地を巡る所有権の争いの裁定には、入会という言葉がよく登場します。これは、裁定機関が証拠だけでは所有権の帰属がはっきりしない場合に双方の共有と同様に扱おうということですが、参考になります。
このように発想の転換をすることにより、調停は訴訟とは異なった輝きを取り戻すことになり、第1回期日から調停不成立となり、訴訟しか解決手段が残らないというお互いに望まない道を回避することができます。

エ プラットフォーム推奨の譲渡契約書の問題点

プラットフォームによっては、自前の譲渡契約書の書式を準備して、譲渡する場合にはそれをダウンロードして使用することを推奨しているものがあります。
少なくても、譲渡契約書の書式がない場合よりも紛争解決の役に立っていると思います。

(3)次回は、② 金銭請求が問題となるケースについて詳述したいと思います。

渡邉アーク総合法律事務所&臨床心理士 所長 弁護士渡邉正昭
【渡邉アーク総合法律事務所&臨床心理士】

所長弁護士渡邉正昭プロフィール

渡邉正昭弁護士は、ペット弁護士の先駆けとして、30 年以上ペット問題に取り組んできました。
その間、たくさんの猫や犬を飼養し、ネコ語が分かる弁護士として紹介されています。
また、動物問題の専門弁護士として社会福祉法人日本介助犬協会の役員を長年勤め、身体障害者補助犬法の成立、普及に長年従事してきました。

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