


もとより、当事務所に相談に来られる方々は交渉の相手方がいる場合なので、飼主自身の不注意による熱中症などは相当発生していることが予想されますが、実情は分かりません。
夏場はワンちゃんにとって気分が高揚し、活動的、開放的になり、自己抑制が効かずに粗暴になる傾向がありますが、その影響もあるのでしょうか。
ノーリードの狩猟型の大型犬が小型犬に噛み付くといったケースが目につきます。
熱中症については、トレーナーなどのプロの事業者による杜撰な水分・温度・体調管理によるものです。
一言でいうと、犬に対するプロ意識や知識の欠如、ルールを守ろうとする意識の希薄化、杜撰な管理に尽きると思います。
ドッグヤードでいきなり大型犬を放し飼いにすることは完全にアウトです。
犬はみんな泳げると思い込み、足場のない、逃げ場のない足の立たないプールで泳がせることはアウトです。
体高が数十センチしかないワンちゃんを高温の路上を裸足で歩かせ、水分補給や十分な休憩も与えないで、歩かせたり走らせたりすることや室内の温度や糧食に十分な配慮をしないこともアウトです。
ワンちゃんはよく人間の乳幼児に例えられます。
社会性や最低限度のマナーを教えないと何をするか分からない怖さがあります。
何が危険か危険でないかを言って聴かせるだけでは不十分で親の監視の目は不可欠です。
しかし、親の指示や指導が間違っていると子供は間違ったことを正しいと思い込み、親が間違った指示や指導を強制するとそれに反抗する力はありません。
ワンちゃんの場合も同じです。
ワンちゃんの社会性を身につけさせるためには多くのワンちゃんと友達になるのが良い。
ワンちゃんは本能的に泳げるし、水遊びが大好きだし、水を怖がらない。
ワンちゃんはいつでも散歩をしたがっている。
本当でしょうか?
残念ながらこれだけでは片手落ちでワンちゃんの気持ちに寄り添っていることにはなりません。
むしろ飼主自身の気持ちに「寄り添っている」といっても過言ではありません。
自分がされて嫌なことは相手も嫌であろうという気持ちです。
この考え方は、自分と他人は同じ気持ちであるはずだという一種の「共同幻想」の上に立っています。そうでなければ平穏円滑な社会生活を営むことができません。本能や長年の経験学習から身についたもので、抗うことはなかなかできません。
しかし、自分がされて嬉しいことは相手も嬉しいはずだという考えがおかしいことは自分の経験を振り返ってみれば気がつくと思います。
自分と相手は違います。自分がされて嬉しくても、相手には不快なことがいくらでもあります。
飼主がワンちゃんが喜ぶだろうと思ってもワンちゃんにとってはありがた迷惑なことはたくさんあります。
先に述べた事故の背景には飼主のこのような「共同幻想」が存在するのです。
それでは、真に寄り添うとはどのようなことでしょうか。
自分、ワンちゃん、社会のそれぞれの立場に立って考えれば失敗はありません。
そのためには飼い主としての自覚と責任感、加えて努力が必要です。
飼主によるペットの「殺傷与奪」が放任されていた時代には、飼主の都合でペットを捨てたり拾ったりし、飼主としての自覚や責任感、努力をしなくてもペットを飼うことができました。
しかし、今は違います。自覚と責任感と努力のない飼主はペットを飼う資格はありません。
ペット産業に従事する人々も同じことが言えます。
今年の夏のワンちゃんの事故の相談を受けて、この思いを一層強くした次第です。
所長弁護士渡邉正昭プロフィール
渡邉正昭弁護士は、ペット弁護士の先駆けとして、30 年以上ペット問題に取り組んできました。
その間、たくさんの猫や犬を飼養し、ネコ語が分かる弁護士として紹介されています。
また、動物問題の専門弁護士として社会福祉法人日本介助犬協会の役員を長年勤め、身体障害者補助犬法の成立、普及に長年従事してきました。
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