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ペットフード被害 2025.3.10

犬と一緒の写真

1 ペットフード被害

(1)最近のペット問題の特徴の一つとして獣医療過誤の増加が挙げられますが、ペットの健康問題という意味では、ペットフードの問題は薬剤の問題と並んでよく相談が寄せられます。
例えば、ペットフードを食べたペットの体調不良、特定の成分を制限したペットフード(低アレルゲン食、低脂肪食まど)の副作用や病状悪化、ペットフードの使用量や使用方法の過誤など。
しかし、ペットフードの問題は、獣医療の世界だけではなく、広くペット産業、飼養者の問題でもあります。
そこで、今回は、獣医療問題からペット産業に繋ぐ架け橋としてペットフードの問題を取り上げたいと思います。
今回もそうですが、連載シリーズは全て渡邉弁護士に持ち込まれた実際の相談案件に基づいていますので、皆さまのお役に立つと思います。

(2)ペットフード(飼料)の安全性に関する法令の規制は、ペットフードの成分や添加物に関する規制とペットフードの表示に関する規制が典型です。人間の食品の場合と比較するとペットフードの場合は規制が簡略化されています。
順に説明していきます。

2 ペットフードの製造規制(成分、製造方法)

(1)添加物

ペットフードには、保存料・酸化防止剤・安定剤・凝固剤・保湿剤・乳化剤・膨張剤・甘味料・調味料・香料・動物性油脂・着色料・発色剤などの添加物が含まれていますが、以下のような法的規制によってペットの健康・安全面の配慮がされています。

(2)動物愛護管理法における規制(動物の愛護及び管理に関する法律)

ア 目的

「動物の虐待の防止,動物の適正な取扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し,生命尊重,友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに,動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命,身体及び財産に対する侵害を防止すること」を目的として制定されました。

イ 規制

動物を適正に飼養し,その健康及び安全を保持するよう努めることを動物の所有者又は占有者の責務としています(7条)。
「みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待」に対する罰則規定(44条)があります。

ウ 実務

動物愛護管理法は、ペットフードの安全確保全般についてまでは規定していません。
この法律は飼養者の飼い方にスポットライトを当てたものです。
飼養者がペットの飼養をしないで虐待する場合は決して稀なことではありません。多頭飼養が日常化しているペットショップ、ブリーダーなどの業務者や多頭飼育者の多頭飼育崩壊などの相談例があります。行政や裁判を通しての対応を検討することになります。

(3)「飼料安全法」における規制(飼料の安全の確保)

ア 目的

「飼料及び飼料添加物の製造等に関する規制,飼料の公定規格の設定及びこれによる検定等を行うことにより,飼料の安全性の確保及び品質の改善を図り,もって公共の安全の確保と畜産物等の生産の安定に寄与すること」を目的として制定されました。

イ 規制

飼料の安全確保に関する基準・規格の設定,有害物質を含む飼料等の製造・輸入・販売の禁止及び製造業者等に対する立入検査等を規定しています。

ウ 実務

本法の規制対象は,家畜等(家畜及び養殖水産動物)の飼料に限定されており, ペットフードは規制対象となっていません。当事務所の相談例の圧倒的多数は犬猫なので相談例もほとんどありません。

(4)「ペットフード安全法」の規制(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)

ア 農林水産大臣及び環境大臣が定めた成分規格及び製造方法に合わない犬及び猫用ペットフードの製造,輸入又は販売は禁止されます。
イ 規制

(ア)成分規格は、「愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」によって使用してはいけない添加物等について詳細にリストアップされています。

(イ)製造の方法の基準は、次の通りです。

  1. 有害な物質を含み,若しくは病原微生物により汚染され,又はこれらの疑いがある原材料を用いてはならない。
  2. 販売用ペットフードを加熱し,又は乾燥するにあっては,微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うこと。
  3. プロピレングリコールは,猫用の販売用ペットフードには用いてはならない。

(5)一般社団法人ペットフード協会(旧ペットフード工業会)の取り組み

ペットフード協会は、ペットフードメーカーにより組織された業界団体です。 ペットフードの安全基準について、業界の自主基準として「安全なペットフードの製造に関する実施基準」 を策定し,国内外の製造業者に対してその普及を推進しています。
また、ペットフードの設計,原料購買,製造輸送・保管及びトレーサビリティの確保等に関する管理基準の策定しています。

3 我が国のペットフード製造規制

(1)我が国は,米国と並ぶペットフード規制の「先進国」であり、人間に準じた成分規制や製造規制がありますが、人間と比べて、成分規制は緩く、製造規制についても具体的な数値や時間が取り決められているわけではありません。

(2)(参考)食品衛生法の規制

「その食品の製造,加工又は調理の工程中において〇〇°で〇分間以上加熱するか,又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。」
「食品を製造し,加工し,又は調理する場合は,特定牛の脊柱を原材料として使用してはならない。」

ペットの場合にも、人間に準じた法的規制の仕組みを取り入れていますが、人間とペットの差異、監督官庁の所管の違い、業界団体の影響力などからペット規制は人間と比べて緩く、実効性には改善の余地があります。

4 ペットフードの販売規制(表示)

(1)「ペットフード安全法」の規制

販売される犬及び猫用ペットフードには下記の表示が義務付けられます。

  • 名称
  • 原材料名
  • 賞味期限
  • 製造業者等の名称及び住所
  • 原産国名

(2)薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、旧薬事法)

人間だけではなくペットも対象とされますが、医薬品や医薬部外品等の広告規制に関する法律であり、ペットフード全般ではなく、生理的身体的効果があり薬機法の規制対象となる医薬品等に該当するペットフードが対象ということになります。
多くのペットフードが生理的身体的効果をうたっているので、医薬品等に該当するかは慎重に判断される必要があります。ここでは厚労省の医薬品の範囲に関する基準を紹介します。

ア 医薬品の範囲に関する基準
  1. 成分本質:医薬品専用の成分を指定しているか
  2. 効能効果:身体の変化を表現しているか
  3. 形状:医薬品と思わしき形状であるか
  4. 用法用量:決まった用法用量が明示されているか

以上の4点を総合的に判断して「医薬品」と「食品」を区別し、いずれかに該当する場合は医薬品とみなされる。(参考:昭和46年6月1日厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)

イ 広告規制

薬機法では、ペットフードが医薬品等に該当する場合には、医薬品等の認可を受けたものでなければ、その効能、効果又は性能に関する広告をしてはならないと定められています。また、以下の規制が規定されています。

① 虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)
ペットフードの効能や効果、性能に関する虚偽・誇大な広告、獣医などが保証したと誤解されるおそれのある表現を用いた広告などは規制の対象となります。

② 特定疾病用医薬品等の広告の制限(薬機法第67条)
薬機法第67条では、がんや肉腫、白血病など特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告を禁止しています。
特定疾病用の治療薬は効果が期待できる一方、強い副作用が発生するおそれもあるので、使用にあたって高度な専門知識が必要です。そのため、医師などの医薬関係者を対象にした広告に限って認められています。

③ 承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)
薬機法第68条では、承認を受けていない医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を禁止しています。

④ 具体的には、医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)に定められているので、よく読んで検討することが必要です。

(3)ペットフードの表示に関する公正競争規約

「不当景品類及び不当表示防止法」に基づき,ペットフード公正取引協議会が公正取引委員会の認定を受けた「ペットフードの表示に関する公正競争規約」を定め,適正な表示に努めています。

① ドッグフード又はキャットフードである旨の表示
「ドッグフード」,「キャットフード」,「愛犬用」,「猫用おやつ」等の言葉で表示しなければならない。

② ペットフードの目的の表示
給与の目的に応じて,「総合栄養食」,「間食」,「その他の目的食」のいずれかがわかるよう表示しなければならない。

③ 内容量
正味量をグラム,キログラムなどの単位で表示しなければならない。

④ 給与方法
ペットの年齢や体重に応じた給与量や回数等を表示しなければならない。

⑤賞味期限又は製造年月日

⑥ 成分
粗たんぱく質,粗脂肪,粗繊維,粗灰分,水分の重量比を%で表示しなければならない。

⑦ 原材料名
主要な原材料を使用量の多い順に記載しなければならない。

⑧ 原産国名
ペットフードの最終加工が行われた国名を表示しなければならない。

⑨ 事業者の氏名又は名称及び住所

5 規制法違反の法的効果

(1)ペットフード規制は行政法、取締法の領域なので、行政罰や刑事罰の対象となります。

(2)私法の領域では、ペットに何らかの生命身体の安全などが害された場合には、民法上の売買契約の契約不適合責任、不法行為法上の製造物責任の損害賠償請求の問題となります。

(3)因果関係問題

損害賠償請求では因果関係の立証が最大の問題となります。
請求者は、ペットフードの製造販売に規制法違反の違法があり、ペットフードを食べたペットに何かしらの心身状態の悪化(損害)が生じても、その損害がそのペットフードを食べた結果として生じたメカニズム(因果関係)を獣医学的に証明しなければなりません。
また、ボツリヌス菌による多頭の被害については因果関係の相当性が問題となります。
これらの獣医学的証明には協力獣医との共同作業が必要となり、飼主は治療日記をつけ続けることが望まれます。

6 まとめ

我が国ではペットフードの製造、販売など広い範囲で成分や表示の規制が制度化されています。
ペットフードを食べたペットの体調が悪化した場合には、そのペットの体調が悪化した原因を探索することになりますが、ペットの種類、年齢、性別などの特定情報、ペットの持病や治療歴、給餌の時間と体調悪化の時間的接近性、ペットフードの成分と体調悪化の関連性などを総合的に考慮して体調悪化がペットフードに起因するものか他の要因に起因するものか検討することになります。

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