土日時間外相談対応24時間毎日受付

原則として平日9:30~17:30
予約で土日祝日営業時間外も法律相談対応

▲ メニューを閉じる ▲

ラッキナンバー3(three) 2022.12.7

1 私たちが陥りやすい間違い

前回はうっかり遺言書の怖さについて書いてしまったので、今回は前々回の約束通り「1番重要な遺産分割調停に関する間違い」について説明します。

2 「Aか非Aか?」は「AかBか?」ではない。理屈では分かっていても・・

人間は2者の択一を迫り、2者の選択をする傾向があります。本能と言えるかもしれません。

例えば、「神か悪魔か」「YESかNOか?」「離婚するかしないか?」、どちらかに決めないと気持ちがモヤモヤします。これだけみると第3の選択肢があるんじゃないか!と思う方が多いと思います。

では、こんな場合はどうでしょうか?
ある研究者が離婚した夫婦の特徴を調べたら、特徴A(性格の不一致、夫のモラハラ・家事育児の非協力、妻の過干渉・家事の怠慢)であった。 これを見た夫、妻が、自分達にも当てはまると考えて離婚を決意した。
どこかおかしくないでしょうか?

「現状がAだからといってAすべきであるとは言えない」という哲学的な問題(存在と当為)はここでは扱いませんが、それを差し置いてもおかしいことがあります。
別の研究者が離婚してない夫婦の不満を調べたところ、特徴A(性格の不一致、夫のモラハラ・家事育児の非協力、妻の過干渉・家事の怠慢)であった。離婚した夫婦と離婚してない夫婦の不満は同じだったのです。
そうすると、この離婚の例は次のように分類できます。

  1. 特徴Aがある離婚した夫婦
  2. 特徴Aがある離婚しない夫婦
  3. 特徴Aがない離婚しない夫婦。

もっとも、この場合、特徴Aは離婚夫婦の特徴ではないとも言えます。
本当に物事の特徴を調べる場合には、Aと非Aとを比較しなければなりません。
Aだけでは特徴は分かりません。
そうすると、離婚に至った夫婦の場合には、本人自身は意識していないけれど、外部から見ると離婚しない夫婦とは異なる特徴があるはずですし、実際にあります。2択で自分の人生を決めるのではなく、3択で考えた方が衝動を抑えられ、慎重に考えられます。
この点はもっと詳しく書きたいですが本題ではないのでここまでとします。

また、優先席に元気な若者が座っている、若者の前に老人が立っている、それを見てあなたは若者を非難するかもしれません。
あなたの頭の中には、若者は席を譲るべきだ、席を譲らない若者はけしからんという2択の基準があります。
ところが、若者に文句を言おうとして、よく見たら、若者の横に松葉杖が...。
若者は足が不自由だったのです。心理学で問題となる帰属理論です。
この場合も、

  1. 席を譲らない元気な若者
  2. 席を譲らない足が不自由な若者
  3. 席を譲る若者の3分類で考えることができるのです。それが分かるとあなたの一時の怒りの感情はなくなります。

3 ラッキーナンバー3(three)

2択で考えると、「AかBか?」「AじゃなかったらB」「Aが正しいならBは間違い」「AすべきであってBすべきでない」「AすべきなのにBをするのは間違っている」「「AすべきなのにBをしたのは非難されるべき」というように考えが進んでいき、相手方を許さないという感情が生まれてきます。
問題は、一度2択で進み出すと3択の考えに切り替えるのが困難であるということです。
どこかで3択の考えに軌道修正できれば良いのですが、考えが進むにつれて感情の火も燃え上がっていきます。軌道修正は容易ではありません。
そこで、最初から物事を3択で考える習慣を身につけるのです。
「AかBかCか?」「AじゃなかったらBかC」「A、B、Cのどれか正しいか間違いか検討する」「AすべきかBすべきかCすべきか検討する」。
3択ならばAとBの間にCが存在します。黒と白ならは灰色、違法と合法ならばグレーゾーン、病気と健康ならば「未病」といった具合です。
また、AとBの他にCが存在します。黒と白以外に不可視光線(紫外線や赤外線)、違法と合法以外に倫理違反、病気と健康以外に疲労やストレスといった具合でしょうか。
そのように考えられると、相手方を「べき」論、善悪論、非難応酬論で反射的に見なくなるので感情的になることを抑えられます。

しかし、あなたが友人から相談されて、友人に3択の見方をアドバイスすると、多くの場合、友人から「どちらの味方なんだ!」と逆に叱られ、あなたが友人のタメを思って言ったことが逆にアダになったりします。人間が2択で考えることは緊急時に身を守るために身についた遺伝的な本能に由来するので、それを変えるためには訓練が必要だからです。
ところが、この訓練をすることで怒りの感情をコントロールでき、ストレスを溜めず、心が歪まず、健康的な生活を過ごすことができるのですから、最大限にお勧めします。
ちなみに、2択から3択へ〜この発想の転換は、仏教の曼荼羅の発想と似ています(私は以前に「曼荼羅交渉術」という小稿を表しました。)。

以上のような3択の着想を交渉戦略に活かしたのが「フォーラムボックス理論」の①信頼戦略②対立戦略③緊張戦略の考え方です。
次回からはこの「フォーラムボックス理論」について説明していきます。これは20年間に亘って官公庁を中心に指導してきたものですが、今後は民間にも浸透させていけたらと願っています。
理論とはいっても、難しい話はせずに、実践面をやさしく解説していきますのでご安心下さい。

まずは、法律相談のご予約をお入れ下さい。法律相談のあと、そのまま依頼しなければいけないという事はありません。お気軽にご相談にいらして下さい。

弁護士が直接お話を伺います。その上でお客さまにとって最善の解決策をご提案いたします。相談のみで解決した場合はこれで終了となります。

弁護士から解決策や費用などの具体的な提案があります。その上で依頼したいかどうか判断して下さい。もちろん、持ち帰ってお考え頂いて結構でございます。

委任契約後、弁護士は直ちに活動を開始します。その後は、こまめにお客様と連絡をとって進捗状況を報告し、お客様のご意見を伺いながら、案件の対応を進めていきます。

〒106-0032 東京都港区六本木7-3-13 トラスティ六本木ビル8階