
渡邉正昭弁護士は調停委員、調停官(非常勤裁判官)等として20年以上調停の内側から調停の現場を観察し、説得と合意に向けての実践的なコミュニケーションの技法やあり方を研究してきました。
「こうすれば良かった」「こうしたら上手くいった」というようなことが沢山あります。
これらは場数をこなさなければ、調停を内側から観察してノウハウを蓄積しなければ見つけ出せません。
「家庭裁判所漫歩」と銘打ったこのシリーズではこれから続々とこの成果の一端をお伝えしていこうと思います。
家事調停とは家庭問題や親族問題を話し合いによる互譲と合意によって円満に解決する家庭裁判所の制度であると言われます。
しかし、これは家事調停を外側から眺めた見方であると言えます。
家事調停を利用する人たちにとって大切なのは、どのように家事調停を利用したら良いかですが、この答えは、失敗と成功を繰り返しながら何度も調停を実践し、調停の内側から眺めなければ見つけられません。
家事調停の現場をしっかりと観察し、どのようなコミュニケーションをすれば交渉の目的を達成できるのか考えることが必要となります。
調停は社会学のフィールドワークの場であると同時に心理臨床の場なのです。
家事事件を扱うのが家事調停、民事事件を扱うのが民事調停ですが、実際に家事調停を利用すると家事調停には民事調停とは異なる手続き上の特徴があることが分かります。その特徴を知れば、様々な活用方法を考えることができます。
家事調停は、カウンセリング的な手法を活用しながら、家裁調査官や技官といった人間諸科学の専門官の連携を大切にして進められます。
それよりもはるかに広く、親族間の様々なトラブルや家族内の様々なトラブルも扱えます。
複雑な感情が絡む家族や親族の問題を中立公正な裁判所の調整作用によって円満解決するので、調整事件と呼ばれています。
離婚調停と言われますが、正確には夫婦間調整調停であり、離婚を含めた夫婦の将来のあり方について裁判所の調整作用による話し合いによる合意を目指すものなので、これも調整事件です。
家事調停は、感情的に対立する精神状態が不安定な当事者の心情に配慮し、穏やかな雰囲気の中で話し合いのモチベーションを高めながら進めなければならないので、調停は当事者の話をじっくりと聞き、当事者に不満が残らないように進めていきます。民事調停とは異なり、家事調停は相応な時間を要しゆったりと進んでいきます。
例えば、親が子にまとまったお金を渡したが、親はそれを貸金と考え、子はそれを贈与と考えて言い争いとなる場合があります。
このような場合は、親の扶養の問題や親子関係がうまくいっていない事情が背景にあります。
ですから、これらの関係を解決しなければ、本当の意味での解決にはなりません。民事訴訟や民事調停では親子断絶につながり、円満な解決を図ることができなくなる危険があります。
家事調停には親子間の人間関係を改善し、将来の円満な関係を続けていくことが期待できます。
同様に親族間の争いも多くの場合は人間関係の軋轢が原因となっています。
このような場合、単なる表面的な法律関係の解決だけでは将来につながる人間関係の改善が図られない可能性があります。
家事調停には将来につながる人間関係の改善や修復を可能にする効果があるのです。
民事事件であっても、家事調停を活用できる場合があるのです。
家事調停は、民事調停とは異なり、調停の時間をゆったりと取ることができます。そのため、民事調停では1時間ほどで終わる話話し合いでも、家事調停では倍の2時間ほど取ることも可能になります。
そうすると、たっぷりと時間をかけて話し合うために家事調停を選んだ方が良い場合があります。
例えば、親族間でペットの帰属をめぐる争いが生じる場合がありますが、この場合も民事調停ではなく家事調停による解決を選択する方が良い場合があります。
単に所有権者を決める場合には民事調停による短期解決の方がふさわしい場合があるかもしれませんが、将来志向のペットの飼養方法や人間関係の改善といった複雑な事案で法律による解決基準が与えられていないような事案の場合には家事調停を選択する方が適切な場合があります。
なぜならば、このような事案の場合、話し合いの論点があらかじめ用意されておらず、話し合いによって新たに生まれてくるものであり、それだけ十分な時間による話し合いが必要とされるからです。
当法律事務所は法律と心理学を融合した相談を特色としていますが、法律事務所は法律問題だけを扱うと言う固定観念から、「法律問題かどうか分かりませんが相談できるでしょうか?」といったお問い合わせがよく来ます。
親子の問題や親族の問題で法律による解決が困難な問題が多々ありますが、そのような場合には家事調停を活用することができます。さらに、果たして法的紛争かどうか分からないような事案やそもそも紛争とは言えないような事案の相談を依頼される場合がありますが、このような場合であっても、将来志向的な人間関係の調整が必要とされ、かつ当事者間の話し合いだけでは円満な解決が難しい場合があります。人間関係の調整は家事調停がまさに得意とする分野なのです。
当事務所はこのような場合であっても心理学的な観点から相談をお受けし、家事調停の活用方法を検討しています。
次回以降は、具体的な事案に即して家事調停の活用の仕方や実践的な交渉スキルについて説明していきたいと思います。
なお、最後に以下の点を強調したいと思います。
これらの交渉スキルは、日々日常の交渉スキルとしても活用できるし、日々日常の交渉スキルを逆に家事調停の現場に活用することもできます。
家事調停は、交渉スキルを生み出しまた実践する数少ない実践の場なのです。
(円満夫婦のキーワード)
「何気ないひとこと」
夫婦の問題の多くはコミュニケーション、特に日常の何気ない会話の中に問題の種が含まれている場合があります。
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